Friday, June 28, 2013

INSEAD 授業紹介:M&As, Alliances, and Corporate Strategy (SGP)

続いて13JのAIです。


At a glance

世の中にStrategyの授業はたくさんあるが(INSEADでもP2に行う)、多くがBusiness Strategy もしくはFunctional Strategyである。Five Forces3CSWOTRBVBlue Oceanも、みんなそう。では、多くの事業を傘下におさめる大企業、複数の事業領域をピボットしたり買収した結果、いろんな事業体をもつ企業は、そのCorporate Strategyをどのように定めればいいのか?その点に答えるのが、このM&As, Alliances, and Corporate Strategy (MAACS)

内容は徹頭徹尾、Corporate Strategyのみ。大企業の経営企画の立場で、買収、売却、アウトソーシング、アライアンス、資源配分等の様々な局面において、どのような意思決定を、どのような判断基準で行うべきなのか、豊富なケーススタディを元に取り扱う

取り扱いケースは以下の通り
 -Grand Metropolitan :買
 -Berkshire Hathaway :買
 -Lloyds TSB Group :売
 -Bharti Airtel Limited :戦略的アウトソーシン
 -Microsoft and Sendit :M&AにおけるDeal making
 -Cooper Industries :M&AにおけるDeal making
 -The Amazon Toys-R-US alliance :アライアン
 -WPP :本社機
 -P&G :本社組

Key takeaway

あまりにtakeawayが多すぎて書き切れないのが正直なところですが、一番目から鱗だったのが、よく巷で言われる「conglomerate discount」は別にuniversalではないという点です。世間では、様々な事業における子会社を束ねる親会社の時価総額は、実は同様の事業で同じようなポートフォリオを組んだ場合の時価総額の合計より下回る、つまりグループ化する事により企業価値が毀損されてしまう現象が見られるといわれています

教授は、「conglomerate = discountは短絡的。しっかりとCorporate Strategyを実行する事で、企業価値を向上することが出来る。同様に、本社機能の価値は、同様の事業で同じようなポートフォリオを組んだ場合の時価総額を上回る分の時価総額、そこに帰結する」と男らしく断言していました。ただ、実際にはそういう比較が出来る状況は少ないので、日々の運営においては代替指標が多数必要となります

他にも、アライアンスとM&A、アウトソーシングは実際には同一目標(シナジー)を達成するための手段でしかなく、コミットメントの度合と目標シナジーの度合からこれら3つを全て視野に入れた検討をすべき、とも言っていました。世のアライアンス担当はアライアンスのみ、M&A担当はM&Aのみ、アウトソーシングにいたってはここの事業のオペレーション担当で、と検討が別々になりがちな現状を見ると、慧眼だと思います


とにかくハードコアな内容を、これでもか、これでもか、と詰め込むので、がんばってついていくと得られるものは多いです。世の中のいわゆる経営書やコンサル本でも、この領域をしっかり書き切っているものは少ないと思います。そういう意味では、とても勉強になった授業でした

とはいえ、授業の中で「でも、今学んでいるこれらの知識が本当に役立つのは、みんなが卒業して10年後ぐらいかもしれないな。」と教授はつぶやいていましたが、確かに経営企画等の部署に配置されない限りは直接の恩恵はしばらくなさそうです。それでも企業運営の観点で、これらの原理原則を理解していると、より企業の行動が明確に理解できるのではないでしょうか

授業の最終回は、授業期間にあたる過去8週間に起きた様々な企業の経営判断、例えばバークシャーハザウェイのハインツ買収や、タタグループのエアアジアとのJVによる航空業界再参入、デルの自社株買戻しによるプライベート化を、学んできた知識で評価するというもので、学んだ事が実際に役立つ事・重要な事を再発見するいい機会でした

教授について一言

Phanish Puranam2012年までLBSで教えていた教授で、多数の論文を出している著名な教授(らしい)です。確かに、授業のサイドリーディングはおおよそ彼自身の論文で、しかもこれがやたらと分厚い。内容もすごくテクニカルで理解できない・・・そんなハードコアな教授でした

授業中に、ちょっとマニアックな質問をしても、普通の教授なら「それはケースバイケースだよ」とか「ちょっとみんなの意見も聞いてみよう」と直接の回答をかわすような状況でも、しっかり回答する、そんな実直な人です


でもITが致命的に苦手なので(インド人なのに←politically incorrect)、いつもプロジェクターやPCの操作ができずに途方にくれていました。少しかわいい