皆様、アッサラーム・アレイクム。18JのJNです。
昨年8月に開始したコースカリキュラムも終了し、残すところ卒業式のみとなりました。“Time flies”とはこのことかと思う次第です。
さて、本稿では、INSEADのAbu Dhabiキャンパスについて、振り返ってみたいと思います。P3(1~2月)は、18J日本メンバーの内、4名がAbu Dhabi
Campusを選択したわけですが、どんな生活で、takeawayは何だったのか。
1)Bidding process / Classmate
そもそもですが、まず10月頃に説明会・Biddingが行われます。上限45名ですが、〆切後のドロップなども含めると最終的には需給が一致するレベルに落ち着くので、他にBidding Pointの使い道がある人(e.g.他Periodのキャンパス選択、Elective)はBidding戦略の慎重な検討が必要です。なお、後述のコンサルプロジェクトやMENA地域でのINSEADアラムナイ網強化の観点で、同地域での就職希望者、コンサル経験者向けに一定の枠が用意されています。最終的な国籍構成は、ざっくり、欧州30%、北米20%、印パ・中国・日本が各10%前後でした。
2)Campus / 生活環境
基本はGMBA / Executive MBA向けのキャンパス(今年より新Campus、高層ビルの2フロア)ですが、1~2月のベストシーズンのみClass
of July向けに開設されています。キャンパスから車で15~20分程度の五つ星ホテルのApartmentに約2ヶ月、2名1部屋(といっても、各個室に風呂トイレ付きの2LDK?)で泊まりつつ、朝は専用バスで登校し、帰りは各々の予定に応じてTaxiをシェアして帰宅する生活がベースです。生活面で留意が必要なのは、メッセージアプリの通話制約でしょうか。UAE版Docomoの収益源である国内市場を守るためか、Skypeのみ(WhatsApp /
Lineは不可)通常の方法では通話が可能です(実質的な影響は軽微)
こうした環境の中で、後述の通り、授業 / Career準備 / 旅行等に勤しむわけですが、P3は何故かP1~2に増して忙しい印象です。平日は授業やグループワークに忙殺され、週末も課題対応や観光等しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。他Campusも同様に忙しかったようですが、効率性が求められるとともに、チーム内の各個人の重きを置く分野が異なる場合、タスク配分の際に揉め事が発生することも多々あったようです。
3)授業
一時的なMBA Campusとの位置づけゆえ、基本的にElectiveの選択余地はありません(Applied
Corporate Finance、Negotiation、Action Learning Project, Doing in business in Middle East)。一方で、一応定評のある教授を揃えている(ACFは元DeanのPekka教授。また、NegotiationのHoracio Falcao教授はBest MBA Elective Professorに過去何度も選出されています)のが学校側の言い分ですが、Coreコースをはじめ、一部評価が分かれる教授がいることも事実です。
また、ALPはINSEADで数少ないコンサルティングプロジェクトで、実際の企業(TMT / コンサル/ 政府系) / 省庁にプレゼンまで行えるのが魅力です。一方で、非常に短期間のプロジェクトの中、顧客の要求が相応に高い、初めて組むチームメンバーの相性が最悪etc.稀に特定の条件が当てはまると、非常に過酷なワークロードが待っているチームもあったようです。
4)Career
JNはCultureの理解が主なCampus志望理由でしたが、UAE(Dubai / Abu
Dhabi)での就職を希望するClassmatesも相応に多く、学校主催のCareer Trekや属人的なネットワーキング等、アクティブに活動しています(一方で、2月末の大きなキャリアイベントのみ参加する他Campusの学生もいます)。ただし、”外国人”の場合、募集職種が基本的にはコンサル・一部ファイナンスに偏る(一般にこちらでは、言語・文化理解や欧州との歴史的なハブ機能の観点でレバノン人が非常に重用されています)ため、相応に競争度合は高いのではないかと思われます。結果的には、Abu Dhabiメンバーからはコンサルのドバイオフィスに数名が採用されていました。
5)その他課外活動
P3終了後の旅行も含めると、ヨルダン、オマーン、スリランカ、タンザニアが皆の主な行先でした。イランやサウジアラビアはまだ各種政治事情で入国に難点があるようですが、他Campusとはまた違った旅ができるのは魅力かもしれません。一方で、VISAの関係でP3中に出国できない学生は、モスクや、政府が開発を進めている各種テーマパーク(Ferrari、Water land、来年にはWarner Brothers)に行くことで息抜きをしていたようです(なお、Ferrariは授業の一環としても運営会社を訪問し、その後は夕方まで無料券でアトラクションを楽しむことができました)
さて、そんなこんなで進んだP3生活だったわけですが、Abu
DhabiゆえのTakeawayとしては、まずはAbu Dhabiという都市の開発自体が壮大な実験である、というところでしょうか。沿岸部や島を中心にそこら中で工事・開発が行われていますが、いざ完成した建物を夜に眺めてみると、その入居率が著しく低いことが分かります。他GCC諸国と同様石油依存から産業の多角化へと向かう中、まずは箱を作って中身は後から、という構図になっています。
また、一事業として例えば観光開発に注力しているわけですが、一方で、同じ首長国連邦の中にありながら、同様の開発を進めるDubaiとの連携は無く、自国内での非効率な開発・供給過多が進んでいるのも事実です。
人口構成も8割が外国人労働者で、労働人口に限ると9割を超えるとのこと。大きなレバレッジが効いているわけですが、日常生活の接点となる各種従業員がすべてアジアや欧米出身者であることは特にUAEの社会構造への理解という意味では特筆すべき点なのかと思います。
脱石油に向けて何かをしないといけないが、何から初めてどこまでやればいいのか。白地図に大きな絵を描ける仕事、というのは大手コンサルの担当者が言っていましたが、その青写真が往々にして絵空事にならないように、政府としては大胆かつ慎重な足運びが求められるのでしょう。
長文になりましたが、総論としてJNはP3のAbu Dhabi生活に非常に満足しています。上述のような非常にユニークな経験を得られると共に、2ヶ月を共に過ごすAbu
Dhabiクラスのメンバーは、P1~2のセクションと同等かそれ以上の連帯感が生まれるため、新たな仲間を作れるという意味でもお勧めです。
また、アプリカントの方々に於かれましては、もし中東地域での経験が魅力的だという場合は、一つの有益なオプションをINSEADが提供可能であることは間違いなく、あとはご自身が将来(特に就活)を見据えて、どうそのオプションを活用したいか、ということかと思います。ではでは。