さて、今回はP4とP5の学期休みに日本人学生全員で企画・実施したJapan Tripについて紹介したいと思います。10月17日(木)〜21日(月)の5日間、総勢80名弱の参加者となり、過去最大規模の回となりました。
これだけの人数になると全員を集合させるだけでも一苦労でしたが、日本への高い関心を感じられて嬉しく思うとともに、INSEADで出会った友人に母国の文化を紹介しながら、一大プロジェクトの切り盛りを通して日本人学生の間でも結束を固める、とても良い機会でした。参加者を募る時に「The Trip of a Lifetime」と銘打ちましたが、その名の通り、この企画に関わった人それぞれの記憶に残る一生の想い出が作れたと思います。
キャンパスでの生活とはまた違った海外MBA留学の醍醐味を存分に味わえた経験となりました。当日の様子を以下にご紹介します。
Day
0 – 10月16日(水)
この日が正式な学期休みの初日だったのでシンガポール・フランスのキャンパスからの移動日に当てていましたが、気の早い人は既に日本に前乗りしていましたので、大阪に集まれる人でお好み焼きや串カツといったご当地料理を食べに行きました。
道頓堀に集結するINSEADの面々を見て、早くも感慨深くなりつつ、これからこの一団をうまくまとめて日本を案内しなくては、と気を引き締めていました。
なお、今回の旅行ではINSEAD卒業生の方のお力添えで全国に展開するホテルマイステイズに大阪・京都・東京と各都市でお世話になる事となり、改めてINSEADコミュニティの幅広さ・力強さを実感しました。参加者からは、立地・お部屋・価格・サービスのそれぞれにおいて満足の声が聞かれ、国内のみならず海外からの旅行者にはうってつけのホテルだったように思います。
Day
1 – 10月17日(木)
午前中は各自で京都に移動してもらい、午後からバスを貸し切って龍安寺・金閣寺・清水寺と京都の代表的な寺社を案内しました。関西出身の学生がいなかった事もあり、地元の学生ボランティアガイドの方のお力を借りて、日本らしい建造物を堪能してもらいました。
この日を公式なJapan Trip開始日としていたので、夜は一同を集めてお座敷で水炊きを囲みながらの宴会。海外ではなかなか味わえない雰囲気に皆、満足してくれました。その後はカラオケに行ったり、バーに行ったりと銘々に京都の夜を満喫しました。
Day
2 – 10月18日(金)
さて、昨日は何とか全員一緒に行動できたのですが、ここからはいくつか観光や食事の選択肢を設けて、気になるものに参加してもらうというスタイルを採りました。
他には、伏見にある酒造や伏見稲荷大社、サントリーの山崎蒸溜所を見学するコースも準備しました。こちらも伏見稲荷大社が観光地として大変人気である他、日本酒や日本のウイスキーは海外でも人気が高いため、多くの学生が参加してとても活気溢れるものとなりました。
夕飯はおばんざいといったご当地料理から焼き鳥のようなメジャーな和食まで、4つほど選択肢を設けて、少しでも本場の日本料理を経験してもらおうと工夫しました。
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3 – 10月19日(土)
この日は今回のハイライトの一つである温泉旅館に向かいました。京都から新幹線とバスを乗り継ぎ、掛川は真砂館にお邪魔させて頂き、日中は自慢の天然温泉に浸かるなどゆっくり過ごした後、大広間を貸し切って、和会席の宴会です。浴衣姿のINSEAD生が並ぶ姿は圧巻。日本の宴会芸やゲームを一緒に楽しむ事ができ、非常に盛り上がった夜になりました。
海外からの旅行者をこの規模で受け入れるのは初めてとの事でしたが、入念な下準備にも快くお付き合い頂き、伝統的な内装や「おもてなし」を感じさせる丁寧な接客に、参加者一同、大満足の1日でした。
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4 – 10月20日(日)
早くも折り返し地点。掛川駅から新幹線に乗り、品川駅へ。車内でお弁当を食べてもらって、午後からは渋谷ハチ公前に集合し、センター街を抜けて代々木公園や明治神宮、原宿の竹下通りを散歩しました。学生時代は毎週のように朝まで飲んでいた渋谷のセンター街にこんな形で戻ってこようとは・・!
晩ご飯は寿司に焼肉と勝手知ったる東京の街を連れ回し、ラグビーの日本代表の試合を観にスポーツバーへ消えて行ったり、新宿のゴールデン街で飲んだくれたり、本当にみんな好奇心旺盛でバイタリティに溢れています。
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5 – 10月21日(日)
早いものであっという間に最終日。朝イチでバスを貸し切って、浅草寺・スカイツリー・皇居とこれまで巡れなかった23区の東の名所を訪れます。夜更かしが過ぎて起きられずに参加し損ねた人もちらほら・・。
解散してそれぞれが家路につく中、多くの人が感謝の言葉を口にしてくれて、中には旅行中にわざわざメッセージカードを作成して手渡してくれる人までいて、むしろこちらがお礼をしたい気持ちになる一幕もありました。企画者冥利に尽きます。
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Japan Trip – The Trip of a Lifetime – を振り返って
簡潔にまとめようと思いつつ、想い出が多過ぎて長くなってしまったような気がします(笑)が、総括として学びや気づきを整理しておきたいと思います。
1つには人とのつながりの価値を改めて実感する旅でした。キャンパスでは成し得ない交流を通して同級生同士の絆を深める手助けができ、引率側もそれぞれが忙しい合間をぬって助け合い、各自がリーダーシップを発揮してこれだけ大勢の集団を先頭切ってまとめていくというのは、それぞれにとってとても良い経験になりました。
また、期間中のホテルの宿泊や京都での亀岡市訪問、今回の企画への寄付など、卒業生の方々には様々な形で大変お世話になりました。力強いご支援を頂いて当日の引率に専念できた事に感謝するとともに、卒業してなお現役生の活動にこれだけの関心を払ってもらえるコミュニティに属している事の有り難みを改めて感じました。
2つめは、日本という国やその文化に対して、相対的・客観的に考える機会を得た事です。参加者それぞれが自身の目線で物事を見聞きし、様々な質問を投げかけてきます。
「毎日こんな美味しい寿司が食べられて良いな〜」「いや、毎日食べるには寿司はちょっと贅沢かな、昔はファーストフードだったんだけど・・」
「日本の宗教って仏教と神道、どっちなの?」「今は公的には神道だけど歴史的には色々あって・・」
「街中にゴミ箱が全然無いのにゴミが全く落ちてない!皆どうしてるの!?」「(考えた事もなかった・・)うーん道端に捨てるのはかなりバツが悪いし、ゴミ箱見つけるまで持ち歩くかな」
普段はビジネスの観点で文化の違いを論じる事が多く、日本は「かなり変わった」国として取り上げられる事が多いです。その一方で、マンガや和柄に代表される日本の古今を通じたポップカルチャーや礼儀正しく細部に気を配る日本文化の精神性への興味関心は高く、そうしたものに実際に触れてもらい、感想や疑問を議論する事でこちらも気付かなかった・考えた事もなかった視点から自分が生まれ育った国・文化を見つめ直す事ができたのは、90ヶ国から学生の集まるINSEADならではの経験だったように思います。
最後に、末筆ながら、今回も企画の遂行においてAdam Markus様をはじめとする多くのスポンサーの方々にご支援頂きました。また、INSEAD Alumni Association in Japan様ならびに様々な卒業生の方からも色々とお力添えを頂戴しました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。